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㈱TAKシステムイニシアティブ 
  放射線と安全に関して        


  ガンマー線の遮蔽(しゃへい)       
            
遮蔽(しゃへい)





 ガンマー線は、上で述べたように、多くの物質を貫通していきます。ただし、その度合いは、材料によって大きく変わります。基本的には、密度の高いもの(小さくて重いもの)は、通り抜けにくくなります。
つまり、金や鉛などの密度の高いものは、ガンマー線を止める働きがあります。
簡単な式をひとつ示します。遮蔽(しゃへい)材の厚さをt(cm)とすると


   透過率=(0.5) t/α

ここで、αは、物質の種類とガンマー線のエネルギーによって変わる特性値です。たとえば、セシウム137のガンマー線に対して、鉛のαは0.58(cm)となります。この値は、このαと同じ厚さだと、セシウムからのガンマー線が半分、厚さが倍だと、4分の1、3倍だと8分の1、4倍だと、16分の1になるという半分になる厚さです
 たとえば、鉛の厚さが0.58cmの板を持ってくると、セシウムのガンマー線は、

   透過率=(0.5) 0.58/0.58 

       =(0.5

 
       =0.5

 つまり、厚さ0.58cmの鉛板を持ってくれば、セシウム137からのガンマー線は、半分になります。
 では、鉛の厚さを倍の、1.16cmにすると、


   透過率=(0.5) 1.16/0.58 

 
       =(0.52

       =0.5X0.5=0.25

と、25%が透過するというようになります。3倍の1.74cmでは、

    透過率=(0.5) 
  
       =0.5X0.5x0,5=0.125

このように、厚さが増せば、どんどん透過率が低くなります。
その他の材料の遮蔽
鉛をたくさん用いることは大変困難です。金や銀は、さらに困難です。

そこで、他の素材を準備した場合には、どの程度に減らせるでしょうか?

 アルミニウムのαは、3.47(cm)です。ですから、アルミの板では、3.47cmのものを用いて初めて、セシウムのガンマー線を半分に減らせるわけです。(アルミニウムの密度は、2.26g/cmです)

 一般のコンクリートの密度は、2~3g/cmです。鉛が、11.34g/cmですから、その5分の1程度の値です。アルミと同程度の効果が期待できます。
 また、コンクリートのなかでも、できるだけ重い素材を用いた重コンクリート(重コンと呼ばれます)は、密度がおよそ4.5g/cmと重いので、より高い遮蔽効果があり、さまざまな放射線施設で用いられています。

 はどうでしょうか?土も、その土地によって、粘土質であったり、砂であったり、ぼそぼそした軽い土などと種類がたくさんです。基本的には、重い土が遮蔽j効果が高いので、土を突き固めれば、より遮蔽効果が大きくなります。もちろん、土の組成によって、その特徴が異なりますので、全国で同じ遮蔽効果を期待できません。注意が必要です。
 
図示
 上の説明ではちょっとわかりにくいと思いますので、計算した結果を図で示してみます。

 下の図は、横軸が材料の厚さをcmで表し、縦軸がセシウム137からのガンマー線の透過率を示しています。図のなかで、茶色の線が鉛による遮蔽効果です。鉛の厚さがおよそ20cmで、10の―10乗の透過率になります。つまり、1000億分の1のガンマ線がその透過膣になるということです。それに対して、銅や鉄は、もう少し透過率が高い。より厚い材料を準備しないと、遮蔽できないことになります。さらに、アルミやシリコンも示しました。シリコンは、土の代わりに計算してみたのですが、土は、アルミ程度の遮蔽効果はありそうです。ただ、土は、ぼそぼそとしており、空気を含みますので、シリコンよりさらに透過率が高く、遮蔽効果は低いものと思います。その土地によって、土の構造が異なりますので、一定の遮蔽効果で表すことは困難です。ただ、1mくらいの厚さの土を持ってくれば、1000分の1くらいの透過率まで落とせるものと思います。
 
 


 鉄の板を用いた場合の、計算の例を上の図から抜き出してみました。鉄板であれば、セシウム137からのガンマー線量を10cmでおよそ200分の1に低減できます



 以上のように、まずは、セシウムのガンマー線から身を守るには、土地の「天地返し」によって、セシウムを含む土を、地下に埋めることと、さらに、その表面にできるだけ鉄板を敷きつめるなどを行うことで、高い遮蔽効果がでます。

 また、その「天地返し」の際には、どこに、どこの土をどの深さで埋めたかは、200年間の記録を取っておきましょう。我々の代では覚えていても、100年後、200年後の子供たちは分からなくなってしまいます。昔埋めたタイムカプセルがとこかに行ってしまったという話を聞きますね。たった20年前の地下1m程度に埋めたものも分からなくなるのです。ちゃんと自治体の資料として、200年間、管理しましょう。


 それから、空気ではどの程度ガンマー線が減衰するかを計算してみました。代表的な空気として、25度Cの1気圧の乾燥空気です。100mの空気の厚さで、ようやく半分に減る程度のです。つまり、ガンマー線は、大気中ではかなり遠くまで飛ぶことがわかります。シリコンと比較して、その透過率の高さがよくわかると思います。




 
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