①アルファー線
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ヘリウムという原子が、エネルギーをもって飛んでいるものです。原子の直径が大きい(といっても、目に見えるようなものではありませんがーー)ために、さまざまな物質にぶつかると、その表面で止まります。そのために、飛んでいるときの運動エネルギーを、すべてその物質に与えます。その結果、エネルギーを失った表面には、多くの電子が散乱され、イオンが発生します。もし、相互作用した物質が生物であれば、生物を構成する分子をイオン化しますので、その分子を有する生体物質が破壊することもあります。
皮膚の表面などについた場合には、皮膚の表層で止まります。皮膚は、比較的このような衝撃には強いので、大きな問題は起こりにくいです。ただ、これが体内に取り込まれて、イオン化によって影響の出るような臓器で吸収されると、さまざまな問題が起こるのです。 |
②ベーター線
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これは電子からなる放射線です。つまり、非常にエネルギーの高い電子線です。電子線は、ブラウン管などの中でも、10kV程度の加速による運動エネルギーをもって運動していますが、一般に、ベータ線の場合には、1000kV(1MV)程度の加速による電子線と同程度の運動エネルギーを持っています。電子線線ですので、アルファー線よりは、物質の内部まで到達しやすくなります。それでも、数ミクロンといった領域でエネルギーを失って止まります。この深さは、物質の組成によって変わります。アルファー線と同様に、この運動エネルギーが、分子の表面にある電子などを弾き飛ばして、その分子をイオン化しますので、アルファー線のときと同様な作用を起こします。 |
③ガンマー線
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ガンマー線は、光やX線、電波と同じような電磁波です。ただし、その光子(光の粒で、すべての電磁波は光の粒で表すことが可能です。アインシュタインがそれを発見しました)ガンマー線は、たとえば緑色の光の光子のもつエネルギーに対して、およそ50万倍もの粒子としてのエネルギーをもっています。このエネルギーは、どの放射性物質から出てくるかによって、決まっています。セシウム137(30年の半減期)では、33万倍のエネルギーを持っています。X線や光が体を透過するように、ガンマー線は、建物や人間、壁などを透過してきます。つまり、相互作用はしにくいのですが、体を透過する際には、やはり分子をイオン化します。ただし、ガンマー線は体を貫通して通りますので、その通り道で、イオン化をところどころで行います。
アルファー線やベータ線のように、表面にだけイオン化を起こすのではなく、どこででも、イオン化を起こしてしまうのです。つまり、環境全体にガンマー線を出す放射能があると、体中で、イオン化が起こってしまうのです。 |